ニュースの概要
韓国メディアによると、カラーコンサルティングを手がける専門ブランド「ヘビーメイクアップ」が、ロッテ百貨店釜山本店の地下1階にあるポップアップ専用スペースで期間限定店を開いている。会場では、顔の近くに色布を当てて似合う色を探る診断、肌の色味の分析、ヘアカラーの提案などを、専門のコンサルタントが対面で行う。背景にあるのは、面接や顔合わせの場で第一印象が結果を左右するという意識の高まりだ。診断を単なる美容サービスではなく、自分の見せ方を整える手段として売り出す点が特徴といえる。
引用元: 百 でパーソナルカラー診断のポップアップ開催(Asia Economy)
分析・見解
診断が商品ではなく入場券になっている
パーソナルカラー診断は、それ自体で大きな売上を生むサービスではない。一回の料金は数千円から一万円台が相場で、百貨店の坪あたり売上から見れば小さな数字だ。それでも百貨店が場所を貸す理由は、診断のあとに起きる買い物にある。
自分に似合う色が分かると、人は手持ちの服や化粧品を見直したくなる。診断結果は「何を買えばよいか」の地図になる。つまり診断は、売り場への入場券として働いている。
就職や転職の場面が需要を押し上げている
今回のニュースで注目したいのは、需要の出どころが面接や紹介の場だという点である。従来の色診断は、おしゃれ好きの女性が楽しむ趣味に近かった。ところが近年は、就職活動や転職、お見合い、商談前の準備として受ける人が増えている。
目的がはっきりしているため、利用者は「楽しかった」で終わらず、「面接用の服を選ぶ」「髪色を落ち着かせる」と具体的な行動に移る。購買につながりやすい理由はここにある。
韓国は写真付きの履歴書文化が長く、外見への投資に積極的な社会として知られる。この土壌が、診断サービスを実用品として受け入れさせている面もあるだろう。
日本の先行例と何が違うのか
日本でも、百貨店や商業施設で色診断のイベントは珍しくなくなった。ただ多くは、化粧品売り場の集客企画や、季節のフェアの一部という位置づけにとどまる。
釜山の例が示すのは、診断を主役にした専門ブランドが、期間限定でも独立した店として立つ形だ。肌、髪、服の三つを一度に扱えるため、化粧品、美容室、衣料品という別々の事業者が、同じ顧客を取り合うのではなく分け合える。
診断を軸にすれば、異なる業種が一人の顧客の周りに集まれる。この発想は、百貨店が売り場の区分を超えて顧客体験を設計する手がかりになる。
弱点は診断の質のばらつきと再現性
ただし課題もある。パーソナルカラーには国際的な共通資格がなく、診断者によって結果が違うことは珍しくない。同じ人が別の店で別のタイプと言われれば、利用者の信頼は揺らぐ。
今後は、色布による目視に加えて、機器による測定や撮影画像の解析を組み合わせ、結果の根拠を見せる店が増えるだろう。診断の「当たり外れ」を減らせるかどうかが、一過性の流行で終わるか、定着するかを分ける。
ビジネスへの影響
百貨店は診断を集客の起点に置ける
売り場担当者にとって使いやすいのは、診断を単独で稼ぐ商品と考えず、回遊の起点と考える見方だ。診断後の客を、衣料、化粧品、美容室へ案内する導線を作れば、診断の料金は小さくても、館全体の売上に波及する。
まずは短期のポップアップで反応を見るのが現実的である。期間は二週間から一か月ほど、診断後に使える館内クーポンを渡し、その利用率を測るとよい。診断の受診者数ではなく、受診後の購入額を成果の指標にすることが重要だ。
美容・衣料の事業者は診断結果と商品を結びつける
化粧品や衣料の事業者は、診断結果の分類名と自社の商品を対応させた表を用意しておくと強い。「イエローベースの春タイプにはこの色」と示せれば、接客の説明が短くなり、客の迷いも減る。
注意点は、診断者と販売員の役割を分けることだ。診断者が特定商品を強く勧めると、結果への信頼が下がる。診断は中立的に行い、商品提案は別の担当が行う運用が望ましい。
個人事業者は用途を絞って差別化する
診断サービスを提供する個人や小規模事業者は、「就職活動向け」「商談向け」「写真撮影向け」のように、使う場面を絞った方が選ばれやすい。目的が明確な客ほど、料金への納得感が高く、再来店や紹介にもつながるからだ。
診断結果を紙やアプリで持ち帰れる形にし、後日の買い物でも使える状態にしておくと、利用者の満足は長く続く。
